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ワーケーション実証実験結果

ワーケーション実証実験結果

鹿児島県でワーケーションをすることにより得られる効果を、法人向けワーケーションサービスを提供している株式会社スカラパートナーズ と、ワーケーションに関する研究をしているフレックスプレイス研究会(関西大学、法政大学、近畿大学の教授で構成)の協力により実証実験実施の上、調査分析を行った。

実証実験概要

鹿児島県外の企業2社を対象に、ワーケーション体験、心拍数計測、アンケート調査を実施し、鹿児島県内におけるワーケションの効果を数値化。
ワーケーションは、3泊4日のツアーに6名前後のチームが参加。ツアー前後1週間、ツアー中における心拍数計測やアンケート調査の結果を分析することで、鹿児島県内におけるワーケションの効果を計測した。

参加企業

NECソリューションイノベータ株式会社
バリュエンスホールディングス株式会社

実施期間

実証実験① NECソリューションイノベータ株式会社
実施日:2022年9月28日~10月1日

実証実験② バリュエンスホールディングス株式会社
実施日:2022年11月30日~12月3日

実証実験内容

①ウェアラブルデバイスによる心拍数の計測

②アンケート調査による心理指標変化の計測

③ワーケーションにおけるアンケート調査

▼実証に活用したウェアラブルデバイスと取得データ例

▼参考資料「心拍数変化と注意・集中度(教育現場の例)」

実証実験の様子

実証実験① NECソリューションイノベータ株式会社

実施日:2022年9月28日~10月1日
実施地域:鹿児島市、霧島市

クルージング体験
霧島神宮訪問
霧島ホテルでのワーク
焼酎の工場見学
鹿児島県内企業との交流
ライカワークラウンジでのワーク

実証実験② バリュエンスホールディングス株式会社

実施日:2022年11月30日~12月3日
実施地域:鹿児島市、垂水市

仙巌園訪問
鹿児島県内企業との交流
SHIROYAMAホテルで合間にワーク
実証実験の様子
砂風呂体験
垂水市での現地散策

実証実験結果について

①ウェアラブルデバイスによる心拍数の計測

分析方法

1.fitbit社製リストデバイス(Inspire 2)を用いて、1分間隔で心拍数と歩数を記録。
2.参加者のスケジュールから仕事に取り組んでいる時間帯を抽出し、心拍数を求める。(仕事に取り組んでいる時間の中でも、「歩数がゼロの時間」を計測)
3.仕事に取り組んでいる時間帯の心拍数を、ワーケーション1週間前、ワーケーション実施中、ワーケーション1週間後で比較。

fitbit社製リストデバイス(Inspire 2)
分析結果

・心拍数が高い数値である時ほど、「集中、没頭」している可能性が高い。
・今回の実証実験では、ワーケーション実施中における参加者の平均心拍数の増加が見られた。
・この結果から、鹿児島県内でのワーケーションにより、ポジティブな心理状態が喚起され、仕事への集中度が上がっていることが示唆される。
※生理学の見解としても、「集中度」が高い時は交感神経が高いレベルで維持されており、 心拍数が高いとされている。
※以下:参考資料「心拍数変化と注意・集中度(教育現場の例)」からも、アクティブラーニング時の心拍数が高いことがわかる。

▼「心拍数変化と注意・集中度(教育現場の例)」

▼参加者の心拍数増加の平均値推移データ

実証期間における心拍数推移(1分間あたり)

▼ツアー参加者1名の心拍数(心拍数の変化が高い方)

ツアー参加者の中には,心拍数が72.1→82.9と大きく変化がみられる者もいた。

ツアー参加者1名の心拍数推移(1分間あたり)

 ②アンケート調査による心理指標変化の計測

分析方法

1. ポジティブ心理学に基づくアンケートにより心理指標を求める。(自尊感情・特性不安・自己効力感・充実感等のデータを取得)

2.参加者による差をなくすため、心理指標の値を平均値化した。

3.指標の平均をとったものを「ポジティブ度」と定義し、ワーケーション 1週間前、ワーケーション実施中、ワーケーション1週間後の平均値を比較。

ポジティブ度について  
実験参加者の6種類の心理状態(自尊感情、不安感、生きがい感、充実感、自己効力感、レジリエンス(精神的回復力))を問うアンケートのスコアの平均をとったものをポジティブ度と定義。  
※ただし、「不安」はネガティブな心理状態なのでスコアを逆転させて分析。

各心理状態を問うアンケート質問例
a. 自尊感情(5段階、 10項目)
  「いろいろな良い素質を持っている」「自分に対して肯定的である」など
b. 不安感(4段階、18項目)
  「自信が欠如している」「困難なことが重なると圧倒されてしまう」など
c. 生きがい感(4段階、9項目)
  「自分は将来に希望を持っている」「やり甲斐のあることをしている」など
d. 充実感(4段階、1項目)
  「私の毎日は充実している」
e. 自己効力感(5段階、23項目)
  「自分が立てた計画はうまくできる自信がある」「人に頼らない方だ」など
f. レジリエンス(精神的回復力)(5段階、21項目)
  「ねばり強い人間だと思う」「動揺しても、自分を落ち着かせることができる」など

心理アンケート質問の出典、詳細については下記論文を御参照下さい。
(1) Asakawa K: Flow experience, culture, and well-being: How do autotelic Japanese college students feel, behave, and think in their daily lives? Journal of  Happiness Studies. 11(2), 205–223, 2010.
(2) Jamalipournokandeh O, Hori J, K. Asakawa, Yana K: Dispositional Flow and Related Psychological Measures Associated with Heart Rate Diurnal Rhythm. Advanced Biomedical Engineering. 1212, 9-20, 2023.

分析結果

・ワーケーション中は、多くの場合においてポジティブ指標の増加が見られた。このことから、鹿児島県内におけるワーケーションは参加者のポジティブ度増加に一定の効果があると分析できる。
・項目別に分析しても全ての項目で、ワーケーション実施中に高い数値が検出される結果となり、特に充実感の上昇と、不安の解消で高い数値が見られる。

▼参加者のポジティブ度の平均値推移データ(平均値)
実証期間におけるポジティブ度推移

5つの項目で、ワーケーション実施中の効果が見られ、特に充実感の上昇と、不安の解消に効果が現れている。

▼参加者のポジティブ度の平均値推移データ(項目別)

③ワーケーションにおけるアンケート調査

分析方法

参加者へのアンケート調査にて鹿児島県におけるワーケーションの満足度調査を実施。項目としては、「ワーケーションの評価」、「コワーキング施設の評価」、「コミュニケーション活性化における効果」、「仕事における効果」などの調査分析を行った。

分析結果

1.総合的なワーケーションの満足度は、5段階中、4.7と高評価。

2.コワーキング施設の満足度は、5段階中、4.8と高評価。

3.すべての参加者がコミュニケーションの活性化についての効果を実感

4.ワーケーションを通して、特に「デスクワーク」、「チームビルディング」における好影響を参加者が感じている。

5.全ての参加者の満足度が高く、再訪希望率は100%!

a.企業別満足度データ

今回の鹿児島県ワーケーションの評価を教えてください。

NECソリューションイノベータ株式会社

バリュエンスホールディングス株式会社

b.企業別コワーキング施設満足度データ

今回利用したライカワークラウンジの評価を教えてください。

NECソリューションイノベータ株式会社

バリュエンスホールディングス株式会社

c.企業別コミュニケーション活性化における効果分析

鹿児島でのワーケーションは社内のコミュニケーション活性化に効果があると感じますか?

NECソリューションイノベータ株式会社

バリュエンスホールディングス株式会社

d.企業別仕事における効果分析

鹿児島でのワーケーションは仕事に良い影響がありましたか? 今回感じられたポイントを以下より選択して下さい

NECソリューションイノベータ株式会社

バリュエンスホールディングス株式会社

e.再訪の可能性についての分析

2企業ともに全ての参加者が再訪を希望。チームビルディングやリフレッシュで再訪したいという声が多く、家族や友人と再訪したいという声も!

NECソリューションイノベータ株式会社

バリュエンスホールディングス株式会社

参加者の声(一部抜粋)

NECソリューションイノベータ株式会社

・クルージングや企業様との交流会に関して地域と交流でき非常に満足している。

・温泉をはじめとした観光資源や、地域の人々の人柄が魅力的。

・自分の住んでいる地域にはあまり史跡がないので、歴史に多く触れることができたことが印象的。

・集団でアクティビティを実施することで共通の話題ができるので非常に効果的だった。

・非常に楽しかった。今度は自分だけでなく家族も連れてきたいと感じた。

・もっと鹿児島の魅力を体感したいと感じた。

・クルージングと企業交流が印象的だった。

・新たなワーケーション施設を開拓したい。

バリュエンスホールディングス株式会社

・お酒とご飯が美味しいので、必然と会話が弾んだ。

・食事や観光スポットはもちろんのこと、全てのプログラム

・行き先において、おもてなしの心や人の温かさ・優しさが感じられた。

・スタッフの方はもちろん、市町村職員の方などが、ご自身の役割を超えたサービスを提供してくださったと感じた。 ヒューマンスキルの部分で学びが非常に多かった。

・観光という意味では、大自然の中で非日常を味わうことができ最高だった。

・八千代酒造様見学、千本イチョウの見学が印象的だった。

・地元企業とのワークは良い経験だった。

・天文館で美味しいものを食べることができたのがよかった。

・改めて鹿児島の魅力を知ることができ、働き方を通して、これからのライフスタイルの改善など気づきがたくさんありました!

鹿児島県におけるワーケーションは、特に「デスクワーク」、「チームビルディング」に効果あり!仕事へのポジティブ度や集中度も上昇する可能性が高い。

鹿児島でのワーケーション中は、通常時と比較し、ポジティブ度の増加、ワーク中の心拍数の増加が見られる。結果より、ワーケーションによってポジティブな心理状態が喚起され、仕事への集中度が上がることが示唆される。また、参加者アンケートにより、県内のワーク環境や宿泊施設における評価が高く、食や地元住民の人柄の良さなどに魅力を感じている参加者が多く見受けられた。 
なお、仕事に関する効果として、「チームビルディング」や「デスクワーク」における効果が高いことが示唆された。

分析結果概要

生理指標(心拍数)について

平均的にワーケーション実施中に増加傾向があることが示された。

ワーケーション中、仕事への集中度が上がることが示唆される。

心理指標(ポジティブ度)について

平均的にワーケーション実施中に増加傾向があることが示された。

ポジティブな心理状態が喚起され、仕事へも好影響であることが示唆される。

ワーケーションの満足度について

1.総合的なワーケーションの満足度は、5段階中、4.7と高評価。

2.コワーキング施設の満足度は、5段階中、4.8と高評価。

3.すべての参加者がコミュニケーションの活性化についての効果を実感

4.ワーケーションを通して、特に「デスクワーク」、「チームビルディング」における好影響を参加者が感じている。

5.全ての参加者の満足度が高く、再訪希望率は100%!

調査協力者/機関

フレックスプレイス研究会

松下慶太(関西大学教授)、田路則子(法政大学教授)、浅川希洋志(法政大学教授)、八名和夫(法政大学名誉教授)、吉田久(近畿大学教授)

株式会社スカラパートナーズ