鹿児島県に移住した経緯（きっかけ）を教えてください

直紀さん：大学進学を機に上京しました。大学を卒業後、印刷会社にてグラッフィックデザインを担当。その後デザイン事務所でデザイナーとして活動していましたが、2000年にステンドグラスの技術を学ぶために本場フランスへと留学。

帰国後、東京にアトリエを開業し、制作と並行してステンドグラス教室も行っていました。たくさんの生徒さんにも恵まれ充実した生活を過ごしておりましたが、鹿児島で生活する両親のことを考え、2018年にUターンしました。

移住にあたっての不安はありませんでしたか？

直紀さん：私は、完全にUターンした訳ではなく、月の1/3を東京、残り2/3を出水市で生活しています。俗に言う“二拠点生活”。基本的に制作活動はアトリエに籠もりきりで行うので、東京に居ても鹿児島にいてもやっていることは同じなんですよね（笑）。昔と違ってインターネット環境も整っているので特に不安はありませんでした。

美穂さん：出水に帰ることが現実化してきた時は、正直すごく不安でいっぱいだったけれど、“行けばなんとかなるか！”という自分もいて（笑）。迷っていても仕方ないので「決断」することを先にしました。その後自分の気持ちを整えていく作業を私はしました。

移り住んでの感想、まちの印象、魅力は？

直紀さん：子どもの頃は正直、いろんな“物”や“情報”がある東京に憧れもあって、外に出たくて仕方ありませんでした。
でも社会人になり様々な経験をしたり、フランス留学したことで大きく考えが変わりましたね。私がフランスで暮らしていた町は出水にとても雰囲気が似ている田舎町。そこで『自然がたくさんあって、周りを気にせず生活を楽しむことができるこんな環境（田舎）の方が制作しやすいな』ということに気づかされたのです。一度離れることで気づくことのできた出水の魅力でした。

地元に溶け込むコツは？

美穂さん：溶け込むための努力というのは特にしていません。私たちの暮らす出水市野田には、昔から住まわれている方たちが沢山いらっしゃいます。主人の生まれ育った町なので、主人はみんな知り合いなんですよね（笑）そのお陰で、すんなり温かく受け入れて頂けました。

お気に入りの場所や風景はありますか？

直紀さん：自然を一番感じるのは『星空の美しさ』。いっぱいに広がる満天の星はいつ見ても最高です。他にも自然豊かなところですね。こんなに開放感のある風景はなかなかあるものではありません。お庭から見える紫尾山も石積みの町並みもすごく素敵です。

美穂さん：とにかく広い出水の空が大好きです。どこまでも続くパノラマの空を見ていると気持ちまでもが広がっている感触になります。
私は子供とよく空を見上げます。「見てみて、あの雲見て。あ、ほら少し形が変わったね」なんて会話をすることも（笑）朝起きて、紫尾山から昇る朝日を毎日チェックするのが日課で、「今日の朝日は少し引き気味だな…」とか、朝日を浴びて「よし！」と毎日エネルギーをもらっています。

現在のお仕事とこれからの目標（夢）を教えてください

直紀さん：出水に戻って来て時間に追われることが無くなり気持ちに余裕を感じています。ステンドグラスは歴史も古く、そしてこれから先もずっと残っていくものだから、“飽きが来ず主張しすぎない”そこにあるだけで落ち着くような作品作りをしていきたいと思っています。

美穂さん：ステンドグラスに関しては、出水のパノラマの空の下、ゆったりと制作する時間が作品にどのように反映され、そして表現していけるのか。1人でも多くの方にステンドグラスの魅力を知っていただけるようなアトリエにしていくことが出来ればと思っています。生活に関しては、自然を身近に感じながら自分たちのお庭で育てたお野菜を夕食前に収穫して食べる。それって幸せ！ “美味しい〜！”て叫びながらみんなで食べる生活をこれからも続けて行きたい。私が移住してくる時の目標は、“家族で楽しく幸せに暮らすこと”だったので、私の中の小さな目標は今少しずつ叶い始めています。

移住を考えている⼈へメッセージをお願いします。

直紀さん：“移住”となると、近所付き合いとか…難しいことを考えがちだけど、想像するほど大変なことではないので、思い切って飛び込んでみてください！

美穂さん：最初は不安でいっぱいになると思うけれど、勇気を出して足を踏み出せば、“自然の中に自分がいる”という感覚が心地よくなり、周りが固まっていくイメージに。少しずつ移り住んだ土地が自分の居場所となり、もっともっと好きになるはずだから。一歩踏み出してみて！

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