錦江町　地域おこし協力隊　伊藤愛さん

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鹿児島県に移住した経緯（きっかけ）を教えてください

移住する前は、東京でフリーランスの音楽家として活動していました。

東京を中心とした都市部においては、活躍できる場よりも音楽家が溢れてしまっている状況でした。定年も特にない職業なので、ほぼ生涯現役、なかなか席は空かないんです。一方で毎年、全国各地で音楽家の卵は生まれていき、需要と供給のバランスが崩れ、才能はあるけど辞めていく人たちが周囲に溢れている状況でした。

当時、私を含む周囲の音楽家たちの中で「地方には大きな可能性がある」とよく話に上がっていて、私自身も地方に移住して「芸術家たちの新たな居場所づくり、芸術を通じた地方創生に携わりたい」と思い始めました。

そんなこともあり、移住マッチングサイトにて移住先を探し始めました。複数の自治体の移住担当者の方とオンライン面談を行い、私のやりたいことや目標を話したところ、興味を持ってくれたのが錦江町でした。

移住に向けた下見のため錦江町を訪れた際に、当時の地域おこし協力隊受入の担当課長さんと話をする機会がありまして、「なんでもチャレンジしてもらってかまわない！」と強く背中を押してもらったこともあり、錦江町に移住することを決めました。

移住にあたっての不安はありませんでしたか

音楽家という職業は特殊なので、地域の人達に受け入れられるかどうかが心配でした。音楽を通じた活動を錦江町でしたいと思って移住してきたため、そこが否定されると何もできなくなってしまうので。（笑）

音楽家という職業について理解してもらい応援してもらうためにも、1人1人に対してじっくりと丁寧に自分のことを説明していきました。その甲斐もあって、今では「コンサート前だからしっかり練習しなきゃ！」など、地域の人達からたくさん声をかけてもらえますよ。

移り住んでの感想、まちの印象、魅力は？

やっぱり「温かい人が多いこと」が錦江町の魅力かなと思います。見知らぬ若者が急に移住してくるのって私だったら警戒しちゃうと思うんですけど、錦江町の人達は一切そんなことはなくて、「ご飯行くよ！」「まなみちゃん～！」って、以前から知っていたかのように接してくれるんです。

錦江町は安心して、誰でも飛び込んでいける場所だと思います。移住先で迷っている皆さんに、「こんなに温かい町があるんだよ」と伝えたいくらいです。（笑）

地元に溶け込むコツは？

まずは、色んな場所に顔を出してみることですかね。地域のお店や自治会、イベントなどに顔を出してみて、誰かに話しかける１歩が踏み出せればと思います。

私もそうだったんですけど、初めて話しかける時はかなり緊張します。（笑）都会で知らない人に話しかけることってなかなかないので・・・。

でも、１人知り合いができたら、そこからは数珠つなぎのようにどんどん輪が広がっていくんです。そこからは、「ご飯行こうよ」「この場所に行こうよ」と次々と声をかけてくれる人は絶対にいると思いますよ。

お気に入りの場所や風景

日が沈んでいく時間帯にビーチでぼーっとしているのが好きですね。缶ビールを１本だけ持ってビーチに行き、日が落ちていくのを眺めながら過ごす時間は最高です。（笑）

都会は、視覚的にリフレッシュできる場所がなかなかないんですよね。すぐ近くに自然豊かな場所があって、リフレッシュできるというのは本当に贅沢だな～と思います。

現在の仕事とこれからの目標

今は、地域おこし協力隊のSNS運営や、アート関連のイベント企画・運営に加えて、アーティスト・イン・レジデンスの企画・運営を中心に活動しています。

アーティスト・イン・レジデンスとは？
アーティストが一定期間ある土地に滞在し、常時とは異なる文化環境で作品制作やリサーチ活動を行うこと

「芸術と地方をつなぐ」を活動のテーマとして、アーティストを中心とした色んな人を錦江町に誘致し、魅力を伝えてきました。錦江町に来てくれたアーティストの方たちが「新しい生き方・アーティストとしての在り方」を見つけてもらえた時は、この活動をしていて本当に良かったなと思います。

地域おこし協力隊としては２年目が終わろうとしていまして、いよいよ最後の年を迎えます。3年目は退任後へ向けた準備もしないといけない年だと思います。アーティスト・イン・レジデンスの活動を、より持続可能な形にしていきたいので、仕組みづくりや会社設立など、最後の１年でさらにディテールを整えていけたらと思います。