
出水市 アトリエナオリ・井町直紀さん・美穂さん
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僕は2015年8月に阿久根市の地域おこし協力隊として移住したんですが、その前は京都でエリアリノベーションの会社をやっていて、古ビルと工場と旅館の再生を12年くらいやっていました。
その後、ちょっと関わっていた京都のまちがオーバーツーリズム気味になってきてしまい、このまま、まちづくりをしていたら自分の好きなまちを自分で壊してしまうかもしれないと感じ、一旦リセットしようと思って移住を考えるようになりました。
九州にはずっと憧れのようなものがあって、パートナーとも「移住するなら九州がいいよね」と話をしていて、東京のビッグサイトで開催されていた移住フェアに足を運び、いろいろな市町村の話を聞きました。その中に阿久根市もありました。
阿久根市役所の当時の担当課長と話をさせてもらい、「地域おこし協力隊制度を導入するけれど、正直阿久根市としても初めてのことだから堂々と胸張って『地域おこし協力隊として移住してください!』とはちょっと言いづらいんです」と本音を語ってくれたことで僕たちも「ここだったら相談しながら移住の話を進めていけるかもしれない」と思いました。
最終的にはパートナーと僕と、二人とも地域おこし協力隊として採用してくれて、仕事も与えられたものではなく自ら企画して実行するスタイルでやらせてくれたので、仕事を通して地域や地域の人を元気にし続けたいという思いを実現することができました。
不安はなかったですね。僕の出身は千葉県なんですけど、中学生の時は富山に住んでたり、両親は北海道出身だったりと、移住の民だったので(笑)
仕事も京都でずっとまちづくりに関する仕事をしていたので、地域おこし協力隊に対しての不安もありませんでした。
ただ、自分よりもパートナーが馴染めるのかという不安はありました。彼女はデザイナーで職人っぽいところがあるので、「行政の中で折り合いをつけてやっていけるのかな?」など考えましたね。結果的にはお互いにフォローし合ってなんとかやってこれました。
僕たちの移住にとって「海」が結構重要でした。「阿久根の海に沈む夕陽が綺麗だなぁ」というのは、移住してからの10年間毎日感じています。また、地域おこし協力隊を3年やって、その後もこの土地に居続けようと思った理由は明確で、やっぱり「人」でした。阿久根は漁業が盛んなのでその漁民ならではの人懐こさだったり、漁師に負けず女性も元気に活躍していたりとか、その風景がすっかり好きになってしまっていました。
体育会系なイメージはあるけれど、みなさんとても温かくて、『頑張ってるね、期待しているよ、ありがとう』など素直に言ってくださる人たちが多いので、「この人たちのために何かしたい」と、仕事のモチベーションも上がります!
今は「港町珈琲焙煎所」と、駅前の観光案内所「株式会社まちの灯台阿久根」、3号線沿いの「道の駅 阿久根」、事業承継した「武宮鮮魚店」、あとは会社のコンサルなんかをしています。
いろいろやっているような感じだけれど、全ては阿久根に貢献したいというか、このまちのみんなが幸せに暮らせるようにという基本的な想いは一緒です。
「おもしろい!」「この人に会いたい!」と思ったら、どんどん会いに行くことかな?(笑)
さっきも話したとおり、まちのみなさんがとても温かくて、自分の想いを伝えると応援してくれる人が多いので、ありがたいです。
お気に入りの風景は、そうですね、とにかく多種多様な顔を持つ「阿久根の海岸線×夕陽」っていうのは全然飽きないかなぁ。いろいろなことをやっていると凹むときもあるんですけど、大体この夕陽を見て、焼酎を飲んだらありがたいことにリフレッシュできます。
それと、お気に入りの「人」が水産関係の業界にひとりいるんですが、その方はどんなに高級なレストランにでも雪駄を履いて行くようなタイプで、自分の信念を曲げないというか、すごくピュアな人です。僕たちがやっていることも、外野の意見に流されずに信頼して応援してくれて、時には厳しいことも言われたりしますが、それも優しさからなので、大好きです。
一般的に「まちづくり」と言われていることを、京都で10年やって、阿久根で10年やって、”コーディネート”というんですかね?、いわゆるおせっかいをする人間が地域にいるといないとでは、やっぱり違って、僕のしている”コーディネート”は、意味があるんだということを最近やっと思えてきました。
行政の気配も把握して、民間の動きも把握して、それぞれにより良い効果が出るようにマッチングしていく、それを続けて自分が「仕事したな」と思えるようなところまではやりたいですね。
あと、若い人の応援とかサポートをしていきたいと考えるようになりました。年齢的にも心がお父さんになってきたのかもしれないです(笑)
仕事はたくさんありますよ!
1次産業や2次産業に若い人の考えや発想とITなんかを掛け合わせてマッチングさせることでまだまだ可能性のある職場はたくさんあります。そういうワクワクしながら楽しく仕事できる余白がまだ地方にはあるので、若い人にはぜひ地方に来て活躍してほしいなと思います!
港町珈琲焙煎所:https://www.instagram.com/porttown_coffee_roasters/
株式会社まちの灯台阿久根:https://go-akune.jp/