
天城町 移住コンシェルジュ 小林美晴さん
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埼玉県狭山市で生まれ育ちましたが、曽於市(そおし)には祖母の家があり、幼少期からよく訪れていました。
私はその家の雰囲気や景色が大好きで、漠然と「いつかはここで暮らすんだろうなぁ〜」と思っていました(笑)
そんな感じで漠然と移住を考えていたときに、曽於市の叔父と、祖母が立て続けに亡くなり、親戚たちと「もう10人くらいしかいない地域だから、そろそろヤバイよね」という話をしていたんです。私も移住したいと思ったのですが、やはり仕事がネックとなりなかなか難しいなぁと悩んでいたところに、父が地域おこし協力隊募集の情報を見つけてきてくれて、「これだったら!」と思って応募しました。(2016年9月地域おこし協力隊として着任)
「いつかは住みたい」と思っていた“いつか”が思いもよらず早く来たので、ちょっと面食らいましたが、大好きな祖母の家があるまちに移住できるというワクワクで小躍りしていました。
当時、東京の鍼灸院で働いていたのですが、「鹿児島に移住するので辞めます」と伝えると「わざわざ田舎に行きたいから辞めるなんて人、今まで会ったことないから、応援するよ!」とエールをもらい、送り出してくれました。
小さい頃からよく来ていて知らない土地ではなかったし、親戚もいるので曽於市への移住に関しての不安は全然なかったです。
ただ、小さい頃は基本的に祖母の家しか訪ねていなかったので、大人になってからのコミュニティは移住してから構築しましたね。
今、曽於市の財部(たからべ)というところに住んでいるのですが、ビックリするほどに生活がしやすいです!移住するなら絶対に穴場だと思う!
曽於市で唯一電車が通っていて、高速道路のインターチェンジもある。車で走れば隣は宮崎県都城市で買い物や遊びには不自由しない。鹿児島空港と宮崎空港がどちらも車で1時間圏内なので、飛行機の便の選択肢が増える。
海は無いけれど、とても暮らしやすいまちです。
地域おこし協力隊卒業時、地域おこし協力隊員が起業する際の支援を利用して、2020年に自宅で鍼灸院を開業しました。女性限定・予約制にしているので知人からの紹介で来てくれる方がほとんどです。
それと並行して、貼り絵で作品をつくっています。埼玉県狭山市出身なのですが、近くの小川町というところの和紙が有名で、よく家に置いてあったので、小さい頃から貼り絵で年賀状をつくったり、友達にプレゼントで贈ったりしていました。趣味としてずっと続けていたのですが、ここ2〜3年で周囲の方に知ってもらえるようになって、ちょっと本格的にやってみようかなとなりました。
ハサミなどは使用せずに全部手でちぎって貼っているので、指にタコができています。
現在は貼り絵を入れる額も自分で制作するようになったので、更に世界観がつくりやすくなって作品としてのクオリティが上がりました。海外へも展示に出していて、評判も上々です。
私よりも少し前に地域おこし協力隊として着任した三浦さんという隊員がおり、彼女は広報紙を担当していました。彼女と一緒に活動して広報紙にも顔が出ていたので、ありがたいことに曽於市内では、私は相手を知らないけれど、相手は私を知ってくれているという状況で、すんなり溶け込めました。彼女にはホント感謝しています(笑)
彼女が地域おこし協力隊を卒業した後は、自分から意識していろんな人に会いに行ってコミュニケーションを取るようにしました。今では同世代で仲良くなった友達たちとイベントを企画したりして、曽於市内の人たちも、市外の人たちも交流できる場をつくっています。
祖母の家に向かう途中のなんの変哲もない道を走るのが好きです。特に何かがあるわけではないのですが、幼少期から変わらない風景が落ち着くんです。
あと最近は、近くに橋口明治金物店というお店があるのですが、ここで働くユッコさんと話している時間がとても好きです。用事がなくてもついつい寄ってしまって他愛もない井戸端会議をしているだけなのですが、なんだか癒しとパワーをもらえる感じがするんです。
今やっと自分の人生を走り出した感じがするので、この生活を続けつつ、少しずつ活動の幅を広げていけたらいいなと思っています。
鍼灸院ももう少しお客さんの数が増えればいいなと思っているし、貼り絵の方も海外を含めいろんなところで個展ができたらいいなと思っています。
〈malihini(マリヒニ)〉というアーティスト名で貼り絵の活動をしているのですが、ハワイ語で『旅人』という意味があるんです。私が旅行好きということもありますが、たくさんの場所で個展ができたら私の作品に世界中を旅させることができるので、それが理想ですね。
「移住、したらいいと思う!笑」
東京都内で引っ越すのも、東京から鹿児島に引っ越すのも私にとってはあまり変わらない。どこへ行っても一緒だと思うし、合わなかったら戻っても全然いいと思います。
仕事がなかったら生み出せばいいんです。仕事の作り方なんてたくさんありますし。昔より物価が上がっているとはいえ、田舎で暮らしていたら、ご近所さんから一人暮らしでは消費しきれないくらいの野菜とかもらえるので。
今では二拠点、多拠点で生活する人も増えてきているし、飛行機も家もサブスクリプション契約できるサービスがあるので、自分の理想とする暮らしが描きやすくなっていると思います。
田舎には田舎ならではの風景や地域に暮らす人たちの色があるので「田舎はいいぞ!」と言いたいですね。
malihini(マリヒニ)(貼り絵):https://www.instagram.com/malihini_jp